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公開: 2026-06-01
読了目安 約8分

【2026年版】MASH向け In Vitro 3D ヒト肝モデルCRO比較:NAMs時代のプラットフォーム選定ガイド

MASH創薬で主要な3つのin vitro 3Dヒト肝プラットフォーム(InSphero・VivoSim・CN Bio)を公開情報のみで中立比較。FDA Modernization Act 2.0施行後のNAMs時代におけるCRO選定基準と使い分けを解説します。

Fibrosis-Inflammation Lab 編集部 監修
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目次
  • 1. なぜ今 NAMs なのか:規制環境の変化
  • FDA Modernization Act 2.0(2022年)
  • FDA 2025 Roadmap to Reducing Animal Testing
  • MASH への影響
  • 2. 3社プラットフォーム一覧
  • 3. 各社プロファイル:強みとユースケース
  • 3-1. InSphero(スイス)— 高スループット MASH スフェロイド
  • 3-2. VivoSim(米国)— 肝/新規モダリティ毒性 NAMs で FDA 動物試験削減の波に乗る
  • 3-3. CN Bio Innovations(英国)— Liver-on-chip で灌流&長期培養
  • 4. 使い分けフローチャート
  • 主要ユースケース×候補
  • 5. in vivo CRO との組み合わせ設計
  • 6. よくある質問(FAQ)
  • 7. 関連記事

リード文: MASH 創薬の非臨床ステージで、いまインダストリーを動かしているのが NAMs(New Approach Methodologies、新規手法) です。米国 FDA Modernization Act 2.0(2022年成立)は IND 申請での動物試験必須要件を外し、続く 2025年4月の FDA Roadmap to Reducing Animal Testing では、organ-on-chip・organoid・in silico などの NAMs データ提出を奨励し、まず monoclonal antibody など preclinical safety 領域を起点に、validation と Context of Use を前提として段階的に活用を広げる方針が示されました。 この流れの中で、in vitro 3D ヒト肝モデルを提供する CRO/プラットフォーム企業の存在感が急速に高まっています。本記事では、MASH 特化プラットフォームの InSphero・CN Bio Innovations 2 社に、肝/新規モダリティ毒性の NAMs で台頭する VivoSim を加えた 3 社を、プラットフォーム形態・細胞構成・エンドポイント・スループット・規制対応の観点から中立比較します。価格情報は掲載しません(直接見積が必須)。

この記事でわかること(Key Takeaways)

  • NAMs 規制環境(FDA Modernization Act 2.0 / 2025 Roadmap)の要点
  • InSphero・VivoSim・CN Bio の 3D ヒト肝プラットフォームの技術的違い
  • ユースケース別(化合物triage/MoA検証/ADC毒性評価/clinical translational)の使い分け
  • in vivo CRO(Gubra/Physiogenex 等)との組み合わせ設計

📢 編集方針に関する開示 本記事は当サイト編集チームが独立した立場で作成しています。記載3社のいずれからも金銭報酬・広告掲載料・アフィリエイト報酬は受け取っていません。詳細は 末尾のDisclosure を参照。in vivo CRO中心の横断比較は Fibrosis CRO Landscape 2026 にまとめています。

本記事は市場シェアランキング・推奨ベンダー認定・価格比較ではありません。公開情報で MASH または肝 NAMs 関連データを確認できるプラットフォームを対象に、用途別の向き不向きを整理したものです。未公開の SOP・価格・regulatory acceptance・capacity は各社へ直接確認してください。


1. なぜ今 NAMs なのか:規制環境の変化

FDA Modernization Act 2.0(2022年)

IND 申請での動物試験必須要件を撤廃。sponsor が科学的妥当性を示せれば、organoid・organ-on-chip・3D 構築組織・in silico モデルを用いた non-animal データで申請可能になりました。

FDA 2025 Roadmap to Reducing Animal Testing

2025年4月、FDA は動物試験削減のロードマップを公表。まず monoclonal antibody の preclinical safety を起点に、organ-on-chip や in silico などの NAMs 活用を段階的に広げる方針で、いずれも validation と Context of Use を前提としています。

MASH への影響

MASH 領域では、AI 病理 DDT(PathAI の AIM-NASH)が 2025年12月に FDA qualification を受けるなど、規制科学上の関心が高い領域です。ただし、これは臨床試験での組織像スコアリング用 DDT であり、in vitro MASH モデル全般が公式の優先疾患として指定されたわけではありません。in vitro 3D モデルへの期待が高い背景は:

  • 長期(20週超)in vivo 試験が高コスト・低再現性
  • ヒト特異的代謝(DNL、FFA 処理)のマウス/ラット翻訳性が低い
  • Resmetirom 承認(2024年、FDA)後の 第2世代 MASH 薬開発で、compound triage の需要が急増

結果として、in vitro 3D platform の採用を後押しする規制・技術環境が整いつつあります。参考:Modernizing Preclinical Drug Development (ACS Pharmacol Transl Sci, 2025)


2. 3社プラットフォーム一覧

項目InSphero
3D InSight™ Liver MASH
VivoSim
NAMkind™ Liver
CN Bio Innovations
PhysioMimix® MASH
拠点スイス(Schlieren)米国(San Diego)英国(Cambridge)
技術形態3D スフェロイド(静置)3D ヒト肝スフェロイド(Organovo bioprinting 系譜を承継)Liver-on-chip(MPS、灌流)
細胞構成4種共培養:初代ヒト肝細胞+Kupffer+内皮+星細胞4種共培養:初代ヒト肝細胞+Kupffer+内皮+星細胞(NAMkind™ Liver)3種共培養:初代ヒト肝細胞+Kupffer+星細胞(10:1:1)
MASH誘導法FFA+LPS 共刺激MASH 特化誘導の公開根拠は未確認(毒性評価が主軸)HEP-Fat 専用培地(独自)
培養期間〜5週間(スクリーニング向け)長期培養対応14日〜1ヶ月(最大)
スループットAkura™ 96 / 384 well、50化合物/5週中スループット(プリント単位)中スループット(プレート単位)
フィブローシスEPPro-Collagen I、PIIINP、TIMP1、HA、Sirius Red、AI画像解析NAMkind™ toxicology endpoints(詳細は個別確認)steatosis / inflammation / fibrosis markers(IL-6、IL-8、TNF-α、TIMP-1、Pro-collagen、Fibronectin、αSMA 等)
代謝・肝機能EPTriglyceride、LDH、transcriptomics肝毒性マーカー(ADC validation含む)ALT / AST、LDH、Albumin、Urea
MASH特化公開情報の厚み厚い(MASH 専用ページ)low / toxicology-led(MASH 特化の公開根拠は薄い)厚い(MASH 専用ページ)
規制トラックレコードPharmaNest提携で FibroNest™ AI定量と連携(2026/2)FDA 2025 Roadmap 対応を公式ポジショニング、2026/3/24 SoT で ADC 毒性予測データ発表(会社 PR)FDA Modernization Act 2.0 対応を公式解説、2023年 Inipharm INI-822 Phase1 支援実績

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3. 各社プロファイル:強みとユースケース

3-1. InSphero(スイス)— 高スループット MASH スフェロイド

強み

  • 4細胞共培養(肝細胞+Kupffer+内皮+星細胞)で、MASH 表現型の再現に必要な主要 NPC を網羅
  • Akura™ 96/384 well により 50化合物/5週プログラムのスクリーニング設計が可能
  • Pro-Collagen I 分泌、PIIINP、TIMP1、HA、TNF-α、MCP-1、MIP-1α、single-spheroid transcriptomics、AI 画像解析 と、本記事で選定した 3 社の公開情報上は MASH 特化 endpoint の documentation が最も厚い
  • 2026年2月に PharmaNest とのパートナーシップ発表、FibroNest™(AI 線維化定量)との連携を強化
  • Steatotic donor 由来・遺伝子多型バリアントで patient-to-patient variability を評価可能

ベストユースケース

  • Lead optimization 段階の化合物 triage(複数化合物を並行評価)
  • First-in-class 化合物の MoA 検証(transcriptomics 込み)
  • Patient heterogeneity の早期評価(steatotic donor variants)

注意点

  • 静置スフェロイドのため、灌流(flow)依存性の薬理(例:sinusoidal shear 依存の HSC 活性化)は再現しにくい
  • 長期培養(>5週)は主用途ではない

📎 参考:InSphero 3D InSight™ MASH


3-2. VivoSim(米国)— 肝/新規モダリティ毒性 NAMs で FDA 動物試験削減の波に乗る

強み

  • Organovo の bioprinting 技術系譜を承継して 2025年4月に VivoSim へリブランド。現行の NAMkind™ Liver/Intestine は 3D ヒト肝スフェロイド実装(87.5% DILI 感度・100% 特異度を公表)
  • FDA の 2025 Roadmap to Reducing Animal Testing に強くポジショニング(公式サイトで明示)
  • 2026年3月24日、SoT(Society of Toxicology, San Diego)で ADC(抗体薬物複合体)の肝毒性・腸管副作用予測データを発表(会社 PR ベース。peer-reviewed publication ではない)
  • US / Europe に加え、Korea・China に地域代理店経由で展開(Asia-Pacific 拡大中)

ベストユースケース

  • ADC・新規モダリティの肝毒性 NAMs 評価(他2社より ADC 特化データを発表)
  • FDA 申請資料への NAMs エビデンス組込みを前提とした試験
  • Asia-Pacific(韓国・中国)からのアクセス

注意点

  • 現行公開情報は liver/intestine toxicology・DILI・ADC 毒性が中心で、MASH 誘導法・MASH 特化エンドポイント(steatosis/inflammation/fibrosis)の公開根拠は他2社のように確認しにくい
  • MASH 特化プラットフォームというより、肝/新規モダリティ毒性の NAMs プロバイダとして捉えるのが正確

📎 参考:VivoSim Press Release (Mar 2026 SOT, ADC Data)


3-3. CN Bio Innovations(英国)— Liver-on-chip で灌流&長期培養

強み

  • PhysioMimix® Core MPS システムによる liver-on-chip(灌流ベース organ-on-chip)
  • 3細胞 tri-culture(肝細胞+Kupffer+星細胞)に 独自 HEP-Fat 培地で MASH 表現型を誘導
  • 14日以上、最大1ヶ月の長期培養が可能(fat loading + compound dosing の時間設計が柔軟)
  • PhysioMimix NASH-in-a-box 試薬キットにより、顧客自社ラボでの導入も可能
  • CN Bio 発表ベースで、Inipharm INI-822 の Phase 1 開始(2023年、NCT05945537)に向けた regulatory submission 用データを in vitro で支援
  • Transcriptomic profiling で、マウス WD(Western Diet)モデルよりヒト MASH 患者データに近いことを公表

ベストユースケース

  • 長期暴露毒性・効力試験(>2週間)で灌流環境が必要な場合
  • Translational evidence を regulatory submission / pre-IND discussion 向けに整えたい場合(ヒト近似性の論拠)
  • 社内ラボで 試薬キット導入して内製化したい場合

注意点

  • MPS のセットアップ・運用スキルが必要(機器導入・SOP化)
  • 超高スループットスクリーニングには向かない(96/384 plate 並列とは設計思想が異なる)

📎 参考:CN Bio — PhysioMimix MASH / CN Bio Modernization Act 2.0 解説


4. 使い分けフローチャート

主要ユースケース×候補

ユースケース第1候補第2候補コメント
化合物 triage(50+ compounds)InSpheroCN BioInSphero は 384 well 対応、CN Bio は plate 並列
MoA 検証(transcriptomics)InSpheroCN BioCN Bio も transcriptomics 実績あり
長期(>2週)暴露CN BioInSphero灌流系は長期安定
ADC・新規モダリティ毒性VivoSimInSpheroVivoSim が ADC validation データを公表
Translational evidenceCN BioVivoSimCN Bio は Phase1 支援実績、VivoSim は FDA Roadmap 明示
自社導入(試薬キット)CN Bio—NASH-in-a-box が明示的に提供
Patient heterogeneityInSphero—Donor variants を公式提供
In vivo 前段のプライオリタイゼーションInSpheroCN Bioスフェロイドの高スループットが有利

5. in vivo CRO との組み合わせ設計

NAMs モデルは in vivo を置換しない。むしろ、in vivo 試験の 質を上げ、コスト効率を高める 前段フィルターとして最大の価値を発揮します。

典型的なワークフロー例(MASH 化合物開発):

[社内ライブラリ/合成] → [In vitro 3D (InSphero/CN Bio/VivoSim)]
                       ↓ 上位 5–10 化合物
                       [In vivo MASH CRO (Gubra / Physiogenex)]
                       ↓ 上位 1–3 化合物
                       [IND-enabling GLP tox (Charles River / Inotiv)]
  • In vitro 段階で 50 候補を優先順位付けし、in vivo に進める候補数を絞る設計により、下流の in vivo コストを抑制可能
  • 種差ブリッジング(マウス有効→ヒトで有効か?)を in vitro で検証してから in vivo 発注
  • In vivo で failure した場合の MoA 深掘りも in vitro で追加検証可能

in vivo 側の候補は Fibrosis CRO Landscape 2026 を参照してください。


6. よくある質問(FAQ)

Q1: In vitro 3D モデルだけで IND 申請できるか? A: 法的には non-animal の nonclinical test を提出し得ます(FDA Modernization Act 2.0)が、stand-alone で十分かは Context of Use・validation package・FDA との事前相談次第で、non-animal evidence のみでの申請実例は現時点で限定的です。多くの sponsor は「in vitro を主要エビデンス+ in vivo を補完」または「両者を並列」の構成を採用しています。FDA との pre-IND meeting で validation package を事前合意するのが実務的です。

Q2: InSphero・VivoSim・CN Bio 以外の有力プラットフォームは? A: Emulate(Liver-Chip)、Hesperos(multi-organ chip)、TissUse(HUMIMIC)、Mimetas(OrganoPlate)なども MASH 関連データを公表しています。本記事は、MASH 特化ページが公開されている 2 社(InSphero・CN Bio)に、肝 NAMs/新規モダリティ毒性で台頭する VivoSim を加えて選定しました。将来アップデートで追加予定です。

Q3: 日本拠点の NAMs プラットフォームは? A: 国内では複数の研究機関・大学発ベンチャーが MPS/organoid プラットフォームを開発中ですが、MASH 特化で商用サービス展開している CRO はまだ限定的です。最新動向は AMED MPS プロジェクト等を追ってください。

Q4: 価格帯の目安は? A: 公開価格はありません。同一条件の in vivo 長期試験(例:20週 GAN diet、N=10×6群)より低コストになる可能性はありますが、実際の価格は化合物数・endpoint・replicate・解析深度で大きく変わります。正確な比較には同一スペックでの見積取得が必須です。

Q5: どのプラットフォームが 2026–2027 に規制対応メッセージングで先行しているか? A: 公開情報ベースでは、CN Bio(Modernization Act 2.0 対応を明示)と VivoSim(2025 Roadmap に強くポジショニング)が規制戦略を前面に出しています。InSphero は学術パートナーシップ(PharmaNest 等)を通じた validation データ蓄積で差別化。ただしこれは regulatory messaging / FDA-aligned positioning であり、実際の FDA submission acceptance や qualified DDT とは区別が必要です。いずれが先行するかは今後1〜2年の FDA submission 事例次第です。


7. 関連記事

  • CRO 選定の基礎
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編集方針に関する開示(Editorial Disclosure)

  • 本記事は当サイト編集チームが独立した立場で作成しています
  • 記載3社(InSphero / VivoSim / CN Bio Innovations)のいずれからも金銭報酬・広告掲載料・アフィリエイト報酬は受け取っていません
  • 記載順は「プラットフォーム形態別」に従っており、優劣を示すものではありません
  • 情報源:各社公式サイト、公開プレスリリース、PubMed収載論文、FDA公開文書(2026年5月時点)
  • 情報に誤りや更新があれば、お問い合わせページよりご指摘ください

参考情報源:

  • InSphero — 3D InSight™ MASH Platform
  • InSphero / PharmaNest partnership (Fibrosis Research)
  • Mukherjee et al. In vitro 3D model of NASH with severe fibrotic phenotype (Am J Transl Res, 2019; PMC6456529)
  • VivoSim — NAMkind Liver Model
  • VivoSim — ADC Data (Mar 2026 SOT Press Release)
  • CN Bio — PhysioMimix MASH Assay
  • CN Bio — FDA Modernization Act 2.0 Commentary
  • FDA/CDER/OND Experience with NAMs (PMC, 2025)
  • Modernizing Preclinical Drug Development (ACS Pharmacol Transl Sci, 2025)
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目次
  • 1. なぜ今 NAMs なのか:規制環境の変化
  • FDA Modernization Act 2.0(2022年)
  • FDA 2025 Roadmap to Reducing Animal Testing
  • MASH への影響
  • 2. 3社プラットフォーム一覧
  • 3. 各社プロファイル:強みとユースケース
  • 3-1. InSphero(スイス)— 高スループット MASH スフェロイド
  • 3-2. VivoSim(米国)— 肝/新規モダリティ毒性 NAMs で FDA 動物試験削減の波に乗る
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