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2025-12-23
IPF治療薬開発マップ:2025年の承認・開発中止動向
2025年のIPF領域における最新動向を解説。Boehringer Ingelheimによる10年以上ぶりの新規承認、United TherapeuticsのP3成功、Pliantの開発中止など、明暗が分かれた1年を可視化したマップと共に分析します。
はじめに
IPF(特発性肺線維症)は、生存期間の中央値が診断から3〜5年とされる予後不良の疾患であり、長年新たな治療薬が望まれてきました。2025年は、この領域において10年以上ぶりの新規承認薬が誕生した一方、有望視されていた開発品が中止となるなど、明暗が分かれた1年となりました。
本記事では、2025年におけるIPFの開発競争を、承認取得と開発中止の観点から分析します。
IPF領域:承認取得と開発中止の明暗
承認取得
Boehringer Ingelheim - Nerandomilast(Jascayd)
- 2024年9月にPhase 3 FIBRONEER-IPF試験が主要評価項目を達成1
- 2025年10月にFDA承認取得、10年以上ぶりの新規IPF治療薬として市場に登場2
- Boehringer IngelheimはIPF治療薬Ofevも販売しており、IPF領域でのリーダーシップを強化3
Phase 3進行中
United Therapeutics - Tyvaso(treprostinil)
- TETON-2ピボタル試験が主要評価項目を達成(2025年)45
- 52週間の治療で、プラセボと比較してFVC(努力性肺活量)の絶対値で統計的に有意な改善を示しました4
- 2025年末までにFDAと協議し、IPFへの適応拡大を目指す56
Bristol Myers Squibb - BMS-986278(Admilparant)
- 経口低分子LPA1(リゾホスファチジン酸受容体1)アンタゴニスト78
- Phase 3試験ALOFTプログラム(ALOFT-IPFとALOFT-PPF)が進行中79
- FDA Breakthrough Therapy Designation、Fast-Track Designation、Orphan Drug Designationを取得8
開発中止
Pliant Therapeutics - Bexotegrast
- 2025年2月/3月にPhase 2b/3 BEACON-IPF試験を中止1011
- 独立データ安全性モニタリング委員会の勧告により、プラセボ群と比較してIPF関連有害事象の不均衡が認められたため1011
- 2025年5月には組織再編と人員削減を実施12
業界マップ:IPF開発状況の可視化
以下のMermaid図は、2025年におけるIPF領域の主要な承認、開発状況を視覚化したものです。
凡例:
- 🟢 緑色:承認取得・成功企業
- 🔴 赤色:開発中止企業
考察:IPF領域の明暗と今後の展望
IPF領域では、Boehringer IngelheimのNerandomilastが10年以上ぶりの新規承認を取得した一方、PliantのBexotegrastは安全性の問題で開発中止となりました。これは、線維化疾患治療薬開発における安全性リスクの高さを改めて浮き彫りにしています。
成功したNerandomilastとTyvaso(吸入薬)は、それぞれ異なるアプローチでIPF治療の新たな選択肢となることが期待されます。
まとめ
2025年のIPF領域は、Nerandomilastの登場により長年の沈黙が破られた記念すべき年となりました。一方で、Bexotegrastの中止は創薬の難しさを示しています。今後は、Nerandomilastの市場浸透と、TyvasoやBMS-986278といった後続薬の動向が注目されます。